不甲斐ないおやじ狩りの若者たちを叱りつける、この威風堂々たる中年男性。
これこそまさに、正義の化身だ! こんなおじさんが現実にいたら、きっとモテまくるだろうなぁ……。
そんなことを思いながら読み進めていると――
「……えっ? あれ?」
ふいに、既視感に襲われる。
僕はこのおじさんを知っているような気がするのだ。
それもつい最近。
どこで見たんだろう? 記憶を辿ることしばし――
「ああっ!」
思わず声が出た。
そうだ! 思い出したぞ! このおじさんは、あのときの! そう思った瞬間、僕の脳裏には、とある出来事がフラッシュバックしていた。
それは昨日の夕方の出来事だった。
◆ その日もいつものように、僕はひとり寂しく家路についていた。
「今日も疲れたな……」
独り言を言いつつ、トボトボと歩く僕。
すると前方から、四人の男たちが近づいてきた。
みんな二十代くらいだろうか。
ガラが悪いというか、ちょっと怖い感じである。
しかも、どう見ても普通の人ではない。
不甲斐ないおやじ狩りの若者たちを叱りつける、この威風堂々たる中年男性